原題
Adjuvant immunotherapy with nivolumab versus observation in completely resected Merkel cell carcinoma (ADMEC-O): disease-free survival results from a randomised, open-label, phase 2 trial.
メルケル細胞がん(MCC)は悪性度の高い皮膚がんであり、手術および放射線療法後でも再発率が高い。本研究は、MCCを完全に切除した患者を対象に、ニボルマブを用いた補助免疫チェックポイント阻害療法の有効性および安全性を評価することを目的とした。本試験では、患者179人をニボルマブ投与群または経過観察群に無作為に割り付けた。追跡期間中央値24.3ヵ月の時点で、ニボルマブは経過観察群と比較して無病生存率(DFS)の改善を示した(12ヵ月時点で85%対77%、24ヵ月時点で84%対73%)。有害事象はニボルマブ群で多くみられたが、治療関連の死亡は報告されなかった。全生存率を評価するにはさらなるデータが必要である。本研究は、補助免疫療法がMCCに対する実行可能な治療選択肢である可能性を示唆している。
Journal: Lancet
DOI: 10.1016/S0140-6736(23)00769-9
PMID: 37451295
感想
メルケル細胞癌は非常に稀な皮膚悪性腫瘍で、アメリカで1500人/年程度の罹患数と考えられている。日本での正確な罹患数は見つからなかったが、アメリカよりもっと少ないのであろう。放射線治療が良く効くとされているが、基本的には完全切除を目指した手術が行われ、断端陽性/近接の場合やリンパ節転移陽性の場合には術後照射を行うことが多い。それでもよく再発する、特に遠隔転移。局所再発された方もいたが、多くは遠隔転移である。
切除不能や遠隔転移のあるメルケル細胞癌の患者には抗PD-L1抗体のavelumabの適応がある。しかし完全切除された術後の患者さんに対してはadjuvantの治療はなかった(遠隔転移しやすい癌なのに、完全切除された腫瘍床に放射線治療しても、ねぇ)。抗PD-1抗体のnivolumabによって、2年PFSが10%以上も改善したのは非常に期待できるデータだと思う。
断端陽性とか、リンパ節転移陽性の場合には、術後照射してからNivoとか、もしくはNivo併用で術後照射、という流れになるのかな。
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