原題
Kidney Disease in Childhood Cancer Survivors Treated With Radiation Therapy: A Comprehensive PENTEC Genitourinary Review.
背景:小児患者における腹部放射線治療(RT)は腎障害を引き起こす可能性がある。この研究は、癌の治療を受けた小児患者における腎臓、膀胱、及び高血圧を含む泌尿生殖器(GU)機能障害の線量-容積関係を同定することを目的とした。
方法:癌の治療を受けた小児におけるRT関連GU毒性に関する1990年から2017年までの発表論文の検索を行った。モデリングに適したレポートを評価した。
結果:解析には、小児患者1191名における長期GU転帰に関する13件の報告が含まれた。腎全体の毒性リスクは、異なるRT線量および毒性グレードに基づいてモデル化された。ウィルムス腫瘍および造血幹細胞移植の研究では、特定のRT線量による毒性リスクが低いことが示された。部分的な腎モデリングに利用できるデータは限られていた。
結論:ウィルムス腫瘍および造血幹細胞移植に使用される現在のRT線量は安全であると考えられるが、将来の臨床研究のためのデータ収集および報告を改善するためにはさらなる研究が必要である。腎温存RTレジメンを開発する努力は、治療効果を損なうことなく腎損傷のリスクを低下させる可能性がある。
Journal: Int J Radiat Oncol Biol Phys
DOI: 10.1016/j.ijrobp.2023.02.040
PMID: 37452796
感想
Open accessではないのでAbstractしか読んでいないけど、13の報告の内訳は
Willms腫瘍への全腹部照射(WAI):4つ(86症例)
TBI:8つ(666症例)
腎への部分的な照射:1つ(439症例)。
腎全体が照射された場合、TD5/5はEQD2Gy=10.2 Gyと考えられていて、
WAI 10.5 Gy /6fx → grade 2:4%、grade 3:1%
TBI 12 Gy(分割数不明) → grade 2:8%、grade 3:<3%
と晩期の腎障害のriskは低かったようです。
化学療法併用については、CDDPやifosfamideによる腎障害への上乗せ効果が認められたようです。
成人の場合の閾値は腎全体で23 Gyとか15 Gyと言いますので、小児の方が障害が出やすいようですね。
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